東洋医学の『臓腑』って、内臓のこと?
東洋医学の「臓腑」と現代医学の「臓器」は、少し考え方が違います🌿
鍼灸院でお身体の状態についてお話ししていると、
「脾の働きが少し弱っていますね」
「腎の力が少し低下しているように感じます」
「肝の働きが少し乱れていますね」
などとお伝えすることがあります。
そんなとき、
「脾臓が悪いってことですか?」
「腎臓に何か問題があるんですか?」
と心配される方もいらっしゃいます。
でも、東洋医学でいう「肝・心・脾・肺・腎」と、現代医学でいう肝臓・心臓・脾臓・肺・腎臓は、同じ名前でも捉えている範囲が少し違います。
ここ、ちょっとややこしいですよね😊
今日は、その違いをできるだけ分かりやすくお話ししてみようと思います。
現代医学では、臓器の構造や働きを詳しくみます。
現代医学では、
・心臓が血液を全身へ送り出す
・肺で酸素と二酸化炭素を交換する
・胃や腸で食べ物を消化・吸収する
・腎臓で血液をろ過して尿をつくる
など、それぞれの臓器の構造や働きを詳しくみていきます。
必要に応じて血液検査や画像検査などを行い、身体や臓器に異常がないかを調べることもできます。
ーーーーーーーー
一方で、東洋医学は少し見方が違います🌿
東洋医学の「臓腑」は、身体の働きを広く捉えます
東洋医学では、臓器そのものだけを見るのではなく、
身体の中で起きているさまざまな働きや変化を、ひとまとまりとして考えていきます。
その代表的なものが、
肝・心・脾・肺・腎
という「五臓」です。
たとえば、東洋医学の「脾」。
東洋医学の「脾」は、脾臓だけを指すわけではありません。
東洋医学の「脾」と現代医学の「脾臓」は、名前は同じですが、捉えている範囲が異なります。
東洋医学では「脾」は、脾臓という一つの臓器だけではなく、
食べたものを消化・吸収し、そこから身体を動かしたり、頭で考えたり、内臓が元気に働いたりするために必要なエネルギーや血(気血)をつくる働きに深く関係すると考えます。
また、身体の中の水分の巡りにも関係すると考えられています。
そのため東洋医学では、
・疲れやすい
・身体がだるい
・食後に眠くなる
・身体が重い
・むくみやすい
・食欲が安定しない
などの変化を、「脾」の状態と関連づけて考えることがあります。
だからといって、
「脾が弱っている=脾臓に病気がある」
という意味ではありません。
「腎」も、腎臓だけではありません。
東洋医学の「腎」も同じです。
現代医学の腎臓は、血液をろ過して尿をつくるなど、とても大切な働きをしています。
一方、東洋医学の「腎」は、それよりも広く、
・成長や発育
・年齢による身体の変化
・生殖
・骨や歯
・耳
・排尿
・身体を温める働き
・身体を潤す働き
などにも関係すると考えます。
そのため、
「最近、足腰が弱くなってきた」
「夜中にトイレへ行く回数が増えた」
「耳鳴りが気になる」
「冷えやほてりを感じる」
など、いくつかの身体の変化を合わせながら「腎」の状態を考えることがあります。
もちろん、これも
「腎が弱っている=腎臓が悪い」
という意味ではありません😊
「肝」も、肝臓だけを見ているわけではありません。
東洋医学の「肝」も、とても特徴的です。
東洋医学では「肝」は、身体の中の「気」をスムーズに巡らせる働きや、血との関係、精神的な緊張などにも関わると考えます。
そのため、
・イライラしやすい
・緊張すると身体に力が入る
・首や肩が張りやすい
・胸やお腹がつかえる感じがする
・ストレスによって体調が変わる
・生理前になると身体や気分に変化が出る
などの状態を、「肝」と関連づけて考えることがあります。
ですから、血液検査で肝臓の数値に問題がなくても、東洋医学では「肝の働きが少し乱れている」と考えることがあります。
同じ名前でも、見ている範囲が違います。
このように、
「肝」=肝臓
「心」=心臓
「脾」=脾臓
「肺」=肺
「腎」=腎臓
と、そのまま一対一で置き換えて考えることはできません。
東洋医学では、臓器そのものだけではなく、
その臓腑に関係する身体の働きや変化を、もっと広い範囲で見ている
というイメージです🌿
だから鍼灸院では、いろいろなことをお聞きします😊
鍼灸院で、
「よく眠れていますか?」
「食後に眠くなりませんか?」
「お通じはどうですか?」
「身体は冷えますか?」
「汗はかきますか?」
「最近ストレスはありませんでしたか?」
など、
「それ、今の症状と関係あるの?」
と思うようなことまでお聞きすることがあります。
また、舌や脈、お腹の状態、身体の張りや緊張などを確認することもあります。
これは、一つの症状だけを見るのではなく、
身体の中で今どんな変化が起きているのか?
を考えていくためです。
たとえば、同じ「疲れやすい」という症状でも、
食後に強く眠くなる人もいれば、夜ぐっすり眠れない人もいます。
身体が冷えている人もいれば、反対にほてりを感じている人もいます。
同じ症状でも、身体の状態は人それぞれなんです。
東洋医学には、東洋医学ならではの身体の見方があります🌿
「脾が弱っています」
「腎の力が少し低下しています」
「肝の働きが少し乱れています」
こんなふうに言われると、最初は少しびっくりするかもしれません。
でも、それは必ずしも
「脾臓が悪い」
「腎臓に病気がある」
「肝臓が悪い」
という意味ではありません。
東洋医学では、身体に起きている一つひとつの変化を別々に考えるだけではなく、
「身体の中で、今どんなことが起きているんやろう?」
と、全体のつながりを考えていきます。
これが、東洋医学の面白いところの一つやと思っています😊
こうした考え方を少し知っていただくと、
「肩こりなのに、どうして足に鍼をするんだろう?」
「胃の調子の話なのに、どうして睡眠のことまで聞くんだろう?」
そんな鍼灸治療の「なんで?」も、少し分かりやすくなるかもしれません🌿